about
多彩な色彩が、互いに響き合い、微妙に融け合って、独特の染色美を醸し出す『虹染』(にじぞめ)初代・本郷大田子が創始したこの染色表現は、防染による文様の表現技術を洗練させることの歴史であった日本の染色史の中で、初めて「ぼかし染」を主役として用いた染色表現であるという意味で、京友禅の中でも特異な位置を占めているといえるだろう
『虹染』は、初代・本郷大田子が十数年の歳月を費やして発明された染色技法である。昭和五十年四月十一日その特質と功績が認められ、京都府より『創意工夫発明功労賞』を授与された
『虹染』という美しい響きをもったこの名称は、虹のような色彩のハーモニーとにじみの美しさといった、本郷大田子の染め特有の味わいにその由来がありその言葉から広がる豊かなイメージは、その特質をよく表している。『虹染』の特徴は、臈纈染めの技法を使って表される文様展開もさることながら、多色のぼかし染による染料の重なりによって生じる地色の変化が生み出す色彩の輝きを湛えたような地風の立体的な表情にある。細かく移ろい変化するその色彩の妙は、他の染色表現には見られない現代性のある独自の色彩感覚に裏打ちされ、それが『虹染』を一般的な意味でのぼかし染とは違う、独自の表現としている。ここに地色を単なる脇役としてではなく表現の最も重要な手法として着目した『虹染』の独創性が伺える。
profile
- 1942年
- 京都に生まれる
日本画家、水田慶泉氏に師事、大田子草堂塾にて染色を学ぶ - 1969年
- 銀座ソニービルにて個展【リズムのなかの色と形】
- 1977年
- 個展【現代着物考】/京都ロイヤルホテル
- 1978年
- 個展【ドレスときもの】/京都ホテル
- 1979年
- パリ国際会議場・パレデコングレパリにて【キモノ&ドレープ】発表
- 1981年
- 神戸ポートピア博・神戸国際交流会館にて【モダンジャパン’81】発表
米ジョージア大学にて【KIMONO EAST / WEST】発表 - 1983年
- 個展【きものタイムロード】/京都ホテル
- 1986年
- 二代目本郷大田子襲名
服飾功労賞受賞 - 1987年
- ニュージーランド国立オークランド博物館【日本の伝統美 本郷大田子の世界展】
- 1989年
- ベルギー【ユーロパリア’89】参加
ゲント市セント・ピータースアベイ美術文化センターにて【虹染め 本郷大田子展】 - 1991年
- 財団法人 国際デザイン交流協会より表彰
- 1994年
- ギャラリーSPACE KI にて【虹文字展】
- 1996年
- 芸術公論殿堂作家賞受賞
- 1998年
- 芸術公論精鋭作家推薦に選出される
- 1999年
- 目黒美術館【京友禅 きのう・きょう・あした展】出品
- 2000年
- 清水寺本尊開帳33年記念【友禅 虹染めの世界展】
- 2001年
- ポルトガル国立セアルテ芸術専門機関CRAT 【Kimonos Tradicionals Japonese展】
【国際芸術文化功労賞】受賞 - 2016年
- ギャラリー椋・上賀茂神社式年遷宮記念「虹文字展」
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